秋雷

夜を明るみにさせる光が
薄いカーテン越し
すでに灯りを落とした
部屋の奥まで侵入してくる
数時間前までは
轟音を伴っていた雷雲も
ゆるゆる珍しい方角へと流れゆく
 
 
 
稲穂を育む恵みの雨
芒の波をうねらせ
実りの秋へと最終仕上げ
 
 

その雨足も遠退く
 
 
 
ただ、稲光だけが静かに部屋に忍び込む
すでに音は去っていった
 
 

あんなに騒いだ夏が
去っていく
遠く田圃で鳴く蛙が
夏の終わりを謳う
 
 
 
夏は、
東の山の向こうへ
駆けてゆく
 
 
 
秋が静かに
テーブルの片隅に
きらめきを示す
 
 
 
それは
消えない誓いの光