#小説

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平らなところを歩いていました。 だから、昔見ただらだらな坂を上りたくなりました。 ケヤキの茶色い枯れ葉が落ちている、だらだらとした坂・・・ 上りきったところにある豚小屋の臭いが湿った空気に混じりあい、 重くのしかかってきて、上るのには大そうな…

~序~

2003年~秋~ 落ち葉の音に記憶がさざ波のように寄せて返す。 ほんの小さな子どもの頃の私は、寝つきが悪く、 寝る時にはよく耳鳴りを気にしていた記憶があります。 桃色のギンガムチェックのカバーにくるまれた、 小さな枕に横向きに頭をのせると、その音が…