ピーピーやプップ、ボーボーと鳴ったらボタンを押してください。


そして、音が鳴りやんだらボタンを離してください・・・




看護士さんはワタシにそう説明した。


ワタシの耳にヘッドホンを装着し、
手に、ボタンスイッチの付いている約5cmの棒状を握らせ、
防音室のドアを閉めた。





ほどなくヘッドホン左から、ピーピー音が聞こえてきた。
ボタンを押した。
ちょっと鳴るとすぐ鳴りやんだ。
だからボタンを離した。

今度はプープー聞こえてくる。
ボタンを押した。
鳴りやんだ。
ボタンを離した。


次は高い音だ。チーチー鳴っている。
ボタンを押した。
鳴りやんだ。
ボタンを離した。


徐々に目を閉じなければ聴力に意識を集中できないくらいの、
ほんの小さな音になってきた。

ん~~~?鳴ってるの??
鳴ってる??

あ、鳴ってるわ、
ボタンを押した。
あ、聞こえなくなった、
ボタンを離した。

さらに音は聞こえづらい、
あれ???
あ、鳴ってる、
あ??鳴り終えた??



集中した。



看護士さんが密室のドアを開けた。
はい、今度は右の耳の検査です。



同様の検査、動作の繰り返し。



しかし、右耳が聞こえづらくなったから今日受診したのだ。
やっぱり左より聞こえが悪い。



右の時よりもさらに意識を集中し、
それでも聞きづらかった。


息を止めて耳鳴りのする耳に聴力を集めた。
ぴ~、
鳴ってるの??!
ん~??





ボタンから出てるコードがワタシのジーンズと擦れる音で、
ヘッドホンからの音が判別しにくい。

あかん、じっとして、ワタシ。


身動ぎもせず、目を固く閉じ、意識を集中!!!
ん~~!鳴ってる!
ボタンを押す、
鳴り終えた!
ボタンを離す、




息を止め、身動ぎ禁止!意識集中!!
ん~~~~~!!





ぐぅ~~~、





あぁ、それはワタシの腹の虫の音です。
密室に響き渡るワタシの腹の虫の声、
腹の虫!だまらっしゃい!!
まぁ、ワタシしか聞こえないけど。

息止めすぎて息苦しくなった。
息しろ、ワタシ。



はぁ。



はい、おわりです。




結果、突発性難聴ですね。
しかし、あなた、古河からなんでここ(杉戸)まで来たの?
はい、車で来ました。
ってちがうだろ、わけを聞いてるの、
はい、以前お世話になったからです。

え、以前はなんて言った?私、(=お医者さん)
はい先生、メニエールって・・・







てか、突発じゃねぇだろ?!



先生、土曜日また来るねε≡( ・∀・)ノ゛