処女雪

 
昨夜19時ころから霙混じりの雪が、
夜半には本格的に降りあっという間にそこらじゅう真っ白。
アパートの駐車場はふかふかの白い絨毯を敷き詰めたようになった。
朝が楽しみになった。
 
 
今朝、普段より1時間以上早い5時に起き、
自分の部屋のドアの前と、
お隣のドアの1/3くらいスペースだけ除雪しようと考えてた、
誰も私より先に足跡をつけさせまい。と。
 
引っ越しの為梱包してしまった段ボールのテープをはがしてゴム靴を出した。
さくさく処女雪を踏んで、つま先にたまった雪を蹴り飛ばして、
ころころ転がるさまを思い浮かべた。
 
 
 
が、
 
 
 
残念ながら駐車場には、
タイヤ痕とそのタイヤ痕をつけた車の主の足跡がすでに点いていた。
お隣さんだ。
 
お隣さんはドア前の雪を除けず、
そのまま足跡をつけて行ってしまったのだ。
 
 
負けた気がした。
 
昨夜半から覗いて見ていた処女雪が、
先にお隣さんに侵されてしまった。
 
 
 
とりあえず予定通りのスペースだけ除雪して、
自分ちのドアの前に小さい雪だるまを作って出勤した。
 
 
 
 
 
 
 
帰ってきたら、目の位置に貼り付けた小石が
玄関前に転がっていた。